10年以上リスティングに携わっている担当者がお伝えする成功の極意
1,筆者の経歴
元々はシステムエンジニアの企業でITのキャリアをスタートしましたが当時話題だったサイバーエージェントの藤田社長の本「渋谷で働く社長の告白」を読んで自分もこういうダイナミックな仕事がしたいと思うようになり、3年ほどで年商100億円のECサイトを転職を行いました。
当時は何もWEBマーケティングのスキルがありませんでしたが、マーケティング部に志願して配属になり先輩方のサポートを行い勉強と実績を積んでいきました。
月の広告費予算が1000万以上あり、広告代理業に任せていましたがPCは成果が出ているもののモバイル(当時はガラケーのみ)では全く成果が出ておらず、上司から「インハウスで実施してみるか?」と言われ、快諾してリスティング運用が始まりました。
元々考えることが好きだったので自分で運用しながら情報を仕入れ、分析し改善しの繰り返しで最終的に予算も月間10万円の広告費スタートから500万円まで増額になるくらい成果が出て、会社の年間MVPを取得したこともあります。
ただインハウスではやれることが少なくなり、リスティングの運用が出来るインターネット代理店に転職を行いました。
転職したのはまだ10名以下の代理店で小さな企業でしたがリスティングの市場も伸びていることもあり売上はどんどん伸びていきました。
個人的にもセールスや、運用面で成果を残すことが出来、入社1年後はリーダー、3年後はマネージャー、5年後には部門長になり、リスティング広告を中心に、Facebook広告、Instagram広告、LINE広告、Twitter広告などのSNSやDSP広告、GoogleAnalyticsを用いたコンサルティング支援などを行う会社の売上の6割を占めて年間60億円の売上を達成した部門に仲間共に成長させることが出来ました。
数千社あるGoogleの認定代理店の中で運用力や施策内容などを評価して5部門で1位を表彰するGoogle Premier Partner Awardsも何度か1位になることができました。
ただ人が増えたり上場などをするとしがらみが増え、クライアントの成果に結びつく作業ではない業務が増え、本当に良いと思えるサービスが提供出来ていないと思うことが何年か続き、退職を決意。
今は小規模から大規模まで自分のリソース内で仕事が出来る環境でプレイヤーとしての運用力、分析力などをリスティング含め周辺の知識、実績もつけながら「自分で成果が出ないなら他の人がやっても絶対失敗する。」と思える運用が出来ています。
2,リスティングは魔法のツールではない
リスティングはお金を支払う広告の中でも費用対効果が素晴らしく実施しない手はありません。
ただし絶対に成功するかと言われるとそうではありません。市場、競合、時期、サイト、商品・サービス、価格、認知度などにより成果が決まります。
頑張って稼いだお金で更に売上を上げたい気持ちはわかりますが、すぐに費用対効果が良いとは限りません。
飲食店を例にするといきなり店を出して売れるのではなく、リピートを増やしたり、売れなければお店の雰囲気を変えてみたり、商品の値段を変えてみたり、ターゲットによって商品を変えてみたり、デザインを変えてみたり、店員の接客レベルを上げてみたり、やれることは山のようにあります。
一つのことをして大成功するというよりも複数のことを改善し続けて、利益が生み続ける土台が完成するのとリスティングは同じです。
集客すれば成果が出るのではなく、集客しつつ、様々な部分を改善してPDCAサイクルを回すことで始めて大きな成果に結びつくことが出来ます。
少数の例ではありますが、月10万円からスタートし、2年後には1000万前後の予算を使用できるくらいにリスティングと噛み合ったクライアント様も実際に存在しています。
3,まずは競合を徹底的に調査しよう
リスティングを実施する前に必ず実施しなければいけないこと。それは競合調査です。
リスティングとは比較される広告手法です。
値段、認知度、UI/UX、機能、契約期間、インセンティブ、実績など、様々な部分で競合と比較されます。
また、覚えておかなければいけないことはインターネット広告市場が毎年10%以上成長しているということです。特にこのコロナ渦ではさらに伸び率は高く2020年で2.2兆円(正確には2兆2290億円)を超えました。これはTV、新聞、雑誌、ラジオの「マスコミ4媒体広告費」の2兆2536億円に匹敵する巨大広告市場です。
一見伸びているということは実施すれば効果が出そうですが、逆に考えると年々競合が10%増えているということです。インターネットを検索するユーザーの数は変わらない。(リテラシーが高いユーザーが年々増えているが人口が変わらないという意味で)のに広告市場が10%伸びているということは毎年10%広告の単価が上がっているとも考えられます。
そこで10%単価が向上しても勝てるように、サービス/商品の改善や差別化、サイトのUI/UXの改善、広告以外のWEBマーケティングの構築などを意識して着手して成果を向上させることが生き残る最善の方法になります。
伸び続けて競合と比べ続けられる市場の中で勝てる方法としては、きちんと競合の強み、弱みなどを理解し、「競合と比較された時に勝てる強み」があるかどうかが非常に大事です。
もし競合と比較されても負けると思うのであればリスティングを実施する前にまずはサービス/商品を見直すことも良いでしょう。
そして、インターネットは参入障壁が低い分、いつ新たな競合が出てくるか分かりません。
あなたが経営者、あるいはWEBマーケティングの担当者ならば必ず市場の状況は常にウォッチして競合の動きに対して、自社が何をすべきかは考えていきましょう。
4,費用対効果はCPAではなくLTVで計測しよう
一般的にリスティングで一番大事と思われる指標はCPAという1回購入させるのに広告費をいくら使用したかというものになります。
CPA目標を1万円に設定すれば、例えば50万円使用すれば50件のCVを獲得しようという話になりますが、まずこのCPAで目標をたてる考えが間違えています。
例えばファッション全般を売りにしているサイトだと帽子を購入したユーザーとバッグを購入したユーザーの単価は違います。ですがCPAだと一人あたりの獲得単価を低くしなければ行けないので帽子を購入するユーザーばかり集めてしまう可能性もあります。
また、BtoBが分かりやすい例になるのですがサブスクリプションのサービスを導入すれば、初期導入費、月のランニング、他商品へのクロスセールスなど最初の売上ではなく、何年も利用してもらうことで顧客の単価が伸びていきます。この顧客の生涯売上のことをLTV(ライフタイムバリュー)と呼ぶのですが、考えるべきことはそこになります。
弊社はリスティング代理店の乗り換えを売りにしていて、広告を掲載しているのですが想定LTVは1社あたり30万円と設定しています。正直もっと高いのですが最低を目標とするのが弊社の考えなので最低月額手数料が5万円で半年は継続してくれると過程して30万円と設定しています。
問い合わせからの受注率が3割ほどなので極端な話1件の問い合わせを獲得するのに10万円(CPA)であれば、30万の売上が最低限出せます。
上記のような想定については広告を出してから半年〜数年立たないと想定と実際のLTVの差が分からないですが回収できる見込みがあれば広告はどんどん実施すべきです。
もし想定のLTVから逆算しても赤字になるというシミュレーションが出てしまえばLTVを上げるしかないので
・継続率を上げるためのCRMや顧客満足度を強化する。
・商品単価をあげたり、クロスセルにつなげる営業を行う。
・購入率を上げるために商品・サービスの価値を向上させる。
・購入率を上げるためにサイトを改善する。
などを実施しましょう
もし立ち上げの段階で上記のような取り組みをする予算が無い。ということであれば広告を実施せずに無料でできる、ブログやTwitter、YouTubeなどを実施するのも一つの手だと思います。ただし広告とは違いすぐに成果が出るわけではなく実施してから成果が出るまでは8ヶ月は最低でもかかることを理解して地道に対応していきましょう。
5,自分が顧客なら購入するか?というユーザー目線を大切に
自社の商品であれば愛着があったり、上司や経営者の目を気にして中々本音が言えないからこそユーザー目線というものを忘れがちです。
一旦その色眼鏡を外して、とてもシンプルな考えですが「自分が顧客なら購入、依頼するかどうか?」を考えましょう。
もし何か引っかかる部分があり、それが変えれないとしてもその場合は勇気を持って対応することは非常に大事です。
「これならぜひ購入したい。友人・知人・家族にも進めたい。」と思えるサービスであれば広告で購入した顧客が口コミとなり紹介してくれます。
「マーケティングとは愛だ。」と言う方が世の中に沢山いますが、それほど愛情を持てばそれはマーケティングの施策を考える時にも自然と良いアイディアが出てきます。
6,リスティングで最高の運用をするには
まず経験は非常に重要です。クライアントの目的や状況は千差万別であり、全て同じやり方で成功するわけではないのでそういう意味では最低限運用歴があるというのは強いです。ただしリスティングのトップ運用者になるような人材は1年で大きな結果を出します。
逆に業界に長くいればいるほど過去の成功体験に怠けて、情報をアップデートせず、細かい作業をせず、小手先の運用なのに上手い言い回しなどの営業だけを行う運用においては質の低い担当者も数多く存在しています。
少し昔話をすると筆者が運用し始めた10年以上前とは状況が全く違いますが、当時はリスティング運用者の2割が鬱になると言われているくらいインターネット広告代理店は激務でした。
今のようにAI・機械学習が発達しておらず手動設定がメインで、機能も少なかったこともありますが、Googleのサポートがほぼ受けれず、情報やノウハウも少なく、海外の記事の情報からじゃないときちんとした情報が無かったこともあり、当時の代理店の多くは自社で確立したノウハウを元に運用しており、それが一番優れているということでセミナーを開催して間違えたノウハウを持った代理店・担当者が乱立していました。
最近弊社にコンサルの依頼があり、内容としては「とても優秀だったWEBマーケターが退職したのでまずはリスティング広告の運用を見直して欲しい」と言われたので、アカウントにログインさせてもらったら何と推奨設計とは程遠い、それこそ10年前に流行ったノウハウでアカウント構成されていました。このような例は沢山あると思います。
ではその中で一番成果が出る運用者(代理店)を探すことや、社内で運用者を育てる為に必要なことは何かと言われると、間違いなく媒体(Google、Yahooなど)が出している最新の情報をキャッチアップして理解した上で設定出来ているかどうかです。
媒体は全世界のクライアントのアカウントの中から成果が出やすい運用方法を体系化して情報を代理店を中心に公開していますし、機能も常にアップデートしています。具体的に体系化された基礎となる考え方でGoogleで最も有名なのがHagakureで、その後3Aがあり、今はmugenという推奨設計(設定)があります。
あくまでも確率論なので必ず上記で設定すれば成果が出るわけではないですが、間違いなく理解はしなければいけません。ただ日々の業務に追われていたり、今クライアントが何となく成果が出ているしアカウントを変に触って成果が一時的に落ちることが怖かったり、そもそも怠慢であったり、読解力が無かったり、様々な要因があり実際にきちんとアップデートして運用している代理店は非常に少ないです。
担当者(代理店)が小手先で運用しているかどうか見極めるのは非常に難しいですが、きちんと媒体からの情報を元に最新の設定になっているかどうかや、具体的な運用の方向性などを聞いてそれが正しいかどうかGoogle関連のサイトを見たり、有力な運用者のTwitter、ブログを参考にして設定するのも良いでしょう。
7,良い担当者を見つけるためには何をすればいいか
他のブログでも書いたことがありますが、正直リスティングで自分が依頼しても良いと思える担当者は10%いないと思います。
代理店にいる以上最低限の運用があるように感じますが、リスティングは激務なのでしっかりと組織化して品質管理している企業以外だと属人性となり、予算が低いほど実力が無い人間が担当になります。
代理店には失礼な質問にはなるのですが
・担当者が変わる可能性はあるのか、あればどのくらいの頻度で変わるのか
・一人あたりの担当者数はどのくらいか
・ダブルチェックをする体制があるのか
・品質管理をする体制があるのか
・どのようにアカウント構築するのか
・hagakureは知っているか
・週にどのくらいの時間運用しているか
などを聞きつつ、その担当者とのコミニケーションの相性や、情熱、問題解決能力を見極めましょう。
良い運用者はコミニケーション下手なところはありますが、きちんとしたロジックがあるので長く話せば素晴らしいと思える方もいます。まずはその人となりを理解した上で、じっくり話を聞き、一番良いと思える担当者を選びましょう。
あとはサイトに記載されてあるGoogleのアワードやYahoo!の担当者の推薦などは正直あてにならないので、そこまで参考にされなくても良いかと思います。資格を持っているかどうかも同様です。
今も昔もリスティング代理店は「どこに依頼するかより、誰に依頼するか」が大事だと言われており、可能ならば知り合い等に良い担当者を紹介してもらうのが一番成果を出す確率はあがるのでまずは周りの方に聞いてみましょう。
8,リスティングは最低でも3ヶ月は継続しましょう
なぜ3ヶ月かというと、成果の最適化に向けて基本原則はデータの量と質を確保しなければ行けないからです。
3ヶ月の間にきちんと運用し、最低限のデータを確保した上で次に何をするか決めましょう。ずっとリスティングを運用して歩いていど結果が出ていたのならまだしも、いきなりリスティングを配信して成果が出ないのは他の章でもお伝えした通りです。
特にBtoBサービスや、WEBマーケティングをほぼ実施したことがなければ3ヶ月で1件も成果が出ないこともあるでしょう。
ただそこから何故結果が出ないのかを、リスティングの成果や、GoogleAnalyticsなどを用いた分析をすることで、仮設を立て、改善し、計画し、実行というPDCAサイクルを回すことで成果が上がります。
全く成果が出ず、リスティングというかWEBマーケティング自体やる必要あるのかと悩まれる会社は沢山ありますが、今まで携わってきた全ての会社がきちんと改善することで成果が向上しています。
中にはリソースの関係で少しずつしか改善出来ないからリスティングを最低限実施しながら2年かけてようやく、初月より4倍の成果が出て、毎年のように同じ予算でも成果向上しているクライアントもいらっしゃいます。
急がば回れという言葉がありますが、最低限3ヶ月間は実施して、そこで出たヒントを元に改善し、リスティングを再開するか、他の戦略で行くかなどを決めていきましょう。
今回は以上です。
皆様にとって良い情報になれば幸いですが、上記はあくまでも筆者の主観的な部分もあるのでそれが正しいかどうかは、ぜひ他の情報と比較して判断していただければと思います。
カッテージでは自分たちが上手く行かなければ他の代理店でも上手く行かないと思えるサービスを提供しております。
もし何かリスティングの運用や、サイトのコンサルティングなど興味あればいつでもご連絡下さい。
リソースの関係でお待ち頂くかもしれませんが、プロとして現状を整理して分析した上で貴社にとって良い提案、運用ができればと思います。最後まで読んで下さりありがとうございました。